【国賠法第1条】完全攻略!重要判例20選を整理してマスター
行政書士試験の頻出分野「国家賠償法」。 第1条は**「公務員が」「職務を行うについて」「故意または過失によって」「違法に」**損害を与えた場合の責任を定めています。
この条文の肝は、なんといっても判例のストック量です。今回は、第1条の成立要件に沿って、重要判例をグループ分けして解説します!
1. 「公権力の行使」にあたるか?
国賠法1条の対象となる「公権力の行使」は、かなり広く解釈されます。純粋な私経済活動(物品の購入など)を除き、広く行政作用が含まれます。
- 教育活動も含まれる! 公立学校の教師による教育活動も「公権力の行使」にあたります(最判昭62.2.6)。
- 警察の捜査活動もOK! 交通犯罪の捜査も含まれます(最判昭54.7.10)。
- 行政権の濫用があった場合 たとえ形式が行政処分であっても、実態が濫用であれば当然に対象となります(最判昭53.5.26)。
- 加害者の特定は必要? 誰がやったか特定できなくても、国や自治体の機関の誰かが違法に損害を与えたことが明らかならば、国賠法上の責任は問えます(最判昭57.4.1)。
2. 「職務を行うについて」の判断基準
これは「外形」で判断されます。
3. 「違法性」のパターン別判例チェック
試験で最も狙われるのが、**「どのような場合に『違法』となるか」**です。
① 規制権限の不行使(やってくれない違法)
行政が持っている権限を使わなかったことが違法になるパターンです。
- 違法とされたもの(国民を守るべき状況)
- 筑豊じん肺訴訟(最判平16.10.15):省令を制定しなかったことは違法。
- 関西電気工事訴訟(最判平7.6.23):通商産業大臣が安全基準を定めなかったことは違法。
- 水俣病(最判平16.4.27):規制権限を早期に行使しなかったのは違法。
- 宅建業法の規制権限(最判昭61.11.24):被害の拡大を防ぐため権限行使すべきだった。
- 違法ではないとされたもの(行政の裁量が大きい場合)
- クロロキン薬害(最判平7.2.20):当時の知見では回収命令を出さなくても違法とは言えない。
- 大東水害(河川改修)(最判昭59.3.23):予算や優先順位の都合上、すぐ改修しなくても直ちに違法ではない。
② 特殊な職務における違法性
- 国会議員の立法・発言 国会での質疑などは、原則として違法にはなりませんが、個別の国民に対して指名して攻撃するなど、明白な逸脱があれば違法となり得ます(最判平9.9.9)。
- 裁判官の裁判 裁判官が違法・不当な目的で行ったなど、特別な事情がない限り違法とはなりません(最判昭57.3.12)。
- 検察官の公訴提起 無罪判決が出たからといって直ちに違法ではなく、「提起時に合理的な疑いがあったか」で判断されます(最判平2.7.20)。
③ 現場の判断(警察・医療・教育)
- パトカーの追跡(最判昭61.2.27) 目的が正当で、方法が相当であれば、結果として事故が起きても違法ではありません。
- 拘置所の医師(最判平17.12.8) 拘置所内の医療も、通常の医療水準に照らして判断されます。
- 教育的指導(最判平21.4.28) 児童への指導も、態様が許容範囲を超えれば違法です。
4. 覚えておきたい「マニアック」な知識
- 建築確認(最判平25.3.26) 建築確認自体が適法でも、それによって近隣住民の権利を侵害する場合の判断基準に注意。
- 所得税の更生・差押え 税務署長が資料を読み違えて過大な更生をしても、直ちに違法とはなりません(最判平5.3.11)。しかし、差押えにおいて著しく配慮を欠けば違法になり得ます(最判平15.6.26)。
- 抗告訴訟との関係(最判昭36.4.21) 「行政処分が取り消されていなくても、国家賠償請求はできる」という超重要知識!
まとめ
国家賠償法1条は、**「国・地方公共団体 vs 個人」**の対立構造です。 判例を読むときは、「この状況で公務員を責めるのは酷ではないか?」あるいは「これはさすがに国民がかわいそうだろう」という感覚を大事にしながら、結論をストックしていきましょう。
【今日のポイント】
- 公権力の行使は「広く」捉える。
- 規制権限の不行使は「切迫性」がカギ。
- 裁判や立法は「滅多に違法にならない」というハードルの高さ。
