結局審査請求は「口頭」でできるのか?できないのか?

(審査請求書の提出)
第十九条 審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない。
VS
(口頭意見陳述)
第三十一条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十一条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

行政不服審査法における「口頭」の扱いは、初めて学習する際に非常に混乱しやすいポイントです。結論から言うと、この2つの条文は**「不服申し立ての入口(第19条)」**「審査のプロセス(第31条)」****という全く異なる場面を指しているため、矛盾はしていません。

一言で言えば、**「出すときは原則として書類だけど、中身の議論(審理)のときは希望すれば喋らせてあげるよ」**という関係になっています。


1. 第19条:審査請求の「方式」(入口)

第19条は、審査請求を**「どうやって始めるか」**を定めています。

  • 条文の原則: 審査請求は、他の法律に特別の定めがある場合を除き、「審査請求書」という書面を出さなければなりません。
  • なぜか: 行政側が「いつ、誰が、何に対して文句を言っているのか」を正確に把握し、証拠として残す必要があるからです。
  • 口頭が許される例外: 法律(条令含む)で「口頭でもいいよ」と特別に書かれている場合に限られます。

2. 第31条:口頭意見陳述(プロセス)

第31条は、書面が出された後の**「審理(話し合い)の進め方」**を定めています。

  • 条文の内容: 審査請求人から申し立てがあったときは、審理員は、その人に**「口頭で意見を述べる機会」を与えなければなりません。**
  • なぜか: 書面(審査請求書など)だけでは伝えきれない熱量や、複雑な事情を直接説明するチャンスを保障するためです。
  • ポイント: これは、19条で書面を出したのステップです。

違いを整理した比較表

項目第19条(方式)第31条(口頭意見陳述)
タイミング審査請求を起こすとき審査請求が受理された後
原則書面主義(書類が必須)口頭の保障(希望すれば喋れる)
目的手続きの明確化・記録化請求人の言い分を直接聴く(権利保障)
イメージ「願書」は書類で出す「面接(意見表明)」は口頭でできる

結論

この2つは矛盾しているのではなく、**「スタートは正確を期すために書類(19条)で行い、その後の調査プロセスでは本人の希望に応じて直接話す機会(31条)を設ける」**という、二段構えのルールになっています。