最判平成6年2月22日(譲渡担保・弁済期後の処分と受戻し)
最判平成6年2月22日のポイント(譲渡担保・弁済期後の処分と受戻し)
1. 何が争われた事件か(争点)
譲渡担保が設定された不動産について、
- 弁済期が到来した後に
- 譲渡担保権者(債権者)が第三者へ不動産を譲渡した場合、
債務者は
「債務を弁済すれば不動産を取り戻せるのか?」
が争点となった事件です。
2. 結論(裁判要旨)
最高裁は次のように判示しました:
▶ 債務者は、もはや不動産を受け戻すことはできない。
- 譲渡担保権者が弁済期後に目的不動産を第三者へ譲渡した場合、
債務者は、第三者が「背信的悪意者」であるか否かに関係なく、
債務を弁済しても不動産を取り戻すことはできない。 - 譲渡担保契約が
- 帰属清算型(弁済期後は担保権者に所有権が帰属)
- 処分清算型(担保権者は処分して清算金を返す)
のどちらであっても同じ結論となる。
3. なぜそのように判断したのか(理由)
最高裁は次のように述べています:
① 権利関係を早期に確定させる必要がある
弁済期後に担保権者が処分した場合、もし債務者がいつでも受戻しできるとすると、
- 所有権が誰にあるのか不安定な状態が続く
- 不動産取引の安全が害される
という問題が生じる。
② 債権者に不測の損害が生じる
第三者が「背信的悪意者」かどうかを担保権者が確実に知ることは難しい。
そのため、背信的悪意者か否かで受戻しの可否が変わると、債権者が予測不能な損害を受けるおそれがある。
4. この判例が示す法的意義
● 譲渡担保の弁済期後の処分は「確定的な所有権移転」をもたらす
弁済期後、担保権者は目的物を処分する権能を取得し、第三者は原則として確定的に所有権を取得する。
● 債務者の保護は「清算金請求」に限定される
債務者は
- 不動産そのものの返還(受戻し)は不可
- 清算金がある場合はその支払いを請求できるにとどまる
5. まとめ(最重要点)
- 弁済期後に担保権者が目的不動産を第三者へ譲渡したら、債務者はもう受戻しできない。
- 第三者が背信的悪意者であっても同じ。
- 債務者ができるのは清算金の請求のみ。
この判例は、譲渡担保の「弁済期後の処分」の法的効果を明確にし、
不動産取引の安全と権利関係の早期確定を重視したものです。

